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温度測定の実務ガイド (熱電対・RTD・サーミスタ・赤外線放射温度計)

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はじめに

温度は、さまざまな種類のセンサで測定できます。センサはその物理的な特性に応じて何らかの変化を感じることによって温度を推定します。エンジニアが使用する6つのセンサタイプは以下の通りです :
熱電対、測温抵抗体 (RTD とサーミスタ )、赤外線放射体、バイメタル式、流体膨張、状態変化です。
熱電対は異なった種類の金属からなる 2つの帯や線を片端で接合したものです。接合点における温度の変化が、接合点の反対側で測定する熱起電力 (emf) に変化を引き起こします。温度上昇に従って必ずしも直線的ではありませんが、熱起電力による出力は上昇します。
測温抵抗体は温度が変化するのに応じて材料の電気抵抗が変化する現象を利用します。2つの主要なタイプが、金属タイプ(一般的にRTDと呼ばれる)とサーミスタです。RTD は金属の抵抗値の変化を利用していて、抵抗値が温度と共に、ほぼ直線的に上昇します。
サーミスタはセラミック半導体における抵抗値変化に基づいています。抵抗値は温度上昇と共に非線形に低下します。赤外線センサは非接触式です。材料から出ている熱放射を測定することによって、温度を決定します。
バイメタル式は異なった金属間の熱膨張率の違いを利用します。2つの異なる金属片が張り合わせてあります。加熱されると、片方の金属片がより大きく膨張して反りができます。その度合いを機械的に接続しているポインタで温度に換算します。バイメタル式は携帯性があり、電源を必要としませんが、熱電対や RTD より正確性に劣ります。また、その温度を自動的に記録するには追加の手段が必要になり簡単ではありません。
流体膨張方式は、家庭の温度計にも使用されている水銀タイプと有機溶液タイプです。また、液体の代わりにガスを使う方式もあります。水銀が環境公害である為、それを含むデバイスの出荷に関する規則があります。流体膨張センサは、電力を必要とせず、引火の危険が無い上、何度も繰り返し使用しても安定しています。しかしながら、記録や送信できるデータが簡単には取り出せません。また、ある特定のスポットに絞った温度を測定することができません。
状態変化タイプは、ある特定の温度に達したときに外観が変わる、ラベル、ペレット、クレヨン、ラッカーまたは液晶などがあります。例えば、蒸気トラップ上に使用 されます。トラップが、ある温度を超えると、そこに貼り付けたセンサラベル上の白いドットが黒くなります。通常、応答時間が何分もかかるので、過渡的な温度変 化に反応できない上に、精度は他のタイプのセンサより低くなります。その上、液晶表示タイプ以外では、状態の変化は不可逆です。それでも、状態変化センサは、 有益な使用法があります。例えば、装置や材料の温度が輸送中に一定水準を超えていないという確認を、技術的か法的な理由で必要とするときなどです。
特定の条件が満たされる( 本文参照 ) と、熱電対性能は配線 (a) における温度変化の影響を受けません。接合点 (b) の材質、また、非熱電対合金でできた配線(c) の挿入に対しても同様です。また、本文で説明したように、熱電対測定値は合計値 (d) となります。
図1A
図1b
図1c
図1d

主なセンサ

化学プロセス工業では、最も一般的に使用されている温度センサは、熱電対、RTD( 測温抵抗体 )、赤外線の3種類です。これらのセンサの動作原理と使用方法に関して、以下に説明します。

熱電対

最も使用されていているが、原理を正しく理解していないケースがあります。基本的には、熱電対は2種の合金を片端で接合し、その反対側をオープンにした構成になっています。 出力端でのemf(オープン側;図1aのV1) は測温接合点の温度T1の関数です。
温度が上昇するのに従って、emf も上昇します。さまざまな環境から熱電対を保護するために、金属かセラミックの保護ケース(シース)の中に入っているタイプがあります。また、金属シース熱電対は、さまざまなタイプの外装コーティングが可能です。例えば、腐食性溶液に対してはポリテトラフルオロエチレンなどです。オープン側でのemfは接合点の温度(測定点の温度)の関数だけではなく、オープン側の温度(図1aのT2)の関数でもあります。T2が基準温度になっている場合のみ、測定値 emf はT1における変化の一次関数であると考えることができます。
T2 の工業的に受け入れられた基準温度は0℃です。したがって、ほとんどのテーブルや図では、T2 がそのレベルにあるという仮定をします。工業計測では、通常、T2の実温度と0℃ の差は、計装機器の中で電子的に修正されています。このemf調整は冷点補正、またはCJ補正と呼ばれます。
入力と出力間(測定点と温度変換器の間)の配線における温度変化は、配線が熱電対合金と同じ、もしくは、熱電特性が同等(図1a)のものであれば出力電圧に影響しません。例えば、熱電対が炉の温度を測定していて、測定値を示す装置が何らか離れた距離のところにある場合です。補償導線を溶かすか、電熱特性を永久に変えるほど熱くならない限り、2者間の配線は別の炉の近くを通っても、温度で影響を受けることはありません。接合点の材料が導電性である(図1b) 限り、接合点自体の材質はいかなる形でも熱電対動作に影響しません。同様に測定値は、熱電対合金と違う配線材料が、片方か両方の配線途中に挿入されても、「代用」配線材料の終端での温度が同じであれば (図1c) 影響を受けません。
熱電対が配線経路上で、代用金属線を使用できる機能は、熱電対スイッチなどのような特別な機器の使用を可能にします。
配線自体は熱電対合金と熱電特性が同等の物ですが、適切な機能が発揮できるように、熱電対スイッチは、金か銀メッキの銅合金素材と正しいコンタクトが確実にできる適切な鉄鋼スプリングを使用して作ります。スイッチの入力接点と出力接点における温度が等しい限り、この材質の変化は影響を及ぼしません。
連続熱電対の法則は重要です。図1dの上部に示す2つの素子のうち、左の熱電対のホットエンド(熱接点)での温度がT1で、オープンエンドがT2となっています。右の熱電対は、T2 に熱接点とT3にオープンエンドを持っています。測定値が T1 である熱電対の熱起電力がV1です;もう一つの熱電対の熱起電力はV2です。2個の熱起電力の合計(V1+V2)は、T1/T3 間で動いている2つの熱電対合わせて発生する、熱起電力V3と等しくなります。この法則を利用して、オープンエンドでの基準温度を測るために、別の熱電対を使用できます。

RTD (測温抵抗体)

典型的なRTD(測温抵抗体)は細い白金線をマンドレル (軸)に巻きつけて、その上を保護塗装で覆った構成になっています。通常、マンドレルとコーティングは、ガラスかセラミックでできています。
RTDの抵抗値 vs 温度プロットから得られるスロープの特性は、アルファ値(温度係数を表すアルファ)で表します(図2参照)。このセンサの特性カーブは、白金の純度に依存します。最も一般的に使用される純度と材質の白金を使用した場合の標準スロープ値は、0.00385( 抵抗がΩで温度が℃を使用)です。このスロープで描かれた抵抗値 vs 温度カーブは、いわゆるヨーロッパ式カーブで、この材質のRTDが最初に、ヨーロッパで広く使用された為です。
また、異なった白金材質に関して、別の標準スロープがあります。わずかに高いアルファ値 0.00392を持っていて、アメリカ式カーブとして知られています。
RTD で、アルファ値が指定されていない場合は、通常、0.00385です。特に測定温度が高い場合は、どちらなのか確かめる必要があります。図2で示されているように、ヨーロッパ式とアメリカ式の両方のカーブは 0℃で100 Ωの抵抗値を示していますが、特に高温領域では測定値が大きく違って来るからです。

RTDは抵抗対温度に関する2規格(アルファ値に関する)のどちらかを採用しています。
図が示すように、特に高温領域では誤差が大きくなるので、正しいアルファ値を使用してください。
図2

サーミスタ

サーミスタの抵抗値 / 温度の関係は負の相関で非線形です。これは回路設計の技術者にとっては問題となります。しかし、マッチングのとれた1対のサーミスタを使用することによって、非線形性が相殺され補正できます。その上、内部的にサーミスタの非直線性を補うパネルメータやコントローラが市販されています。通常、サーミスタは 25℃での抵抗値に従って設計されます。最も一般的なのは2252Ωで、他には5,000と1万Ωがあります。特に指定されない限り、ほとんどの機器が2252Ωタイプのサーミスタに対応しています。

赤外線センサ

物質表面から放たれる熱放射を測定します。電磁エネルギーは温度に関わらず、すべての物体から放射されています。多くのプロセス状況では、 エネルギーは赤外領域にあります。温度上昇に従って、赤外線の量とその平均周波数は上がります。異なった材料は異なったレベルの効率で放射が起きます。この効率は放射率として、0〜1の10進数か0〜100%の割合で定量化されています。皮膚を含むほとんどの有機材料は非常に効率的で、0.95(95%)の放射率を示します。他方では、光沢のある金属は、室温では効率の悪い放射器である傾向があり、しばしば20%以下の放射率を示します。
適切な測定をするためには、赤外線計測センサは、測定表面の放射率を考慮に入れなければなりません。参照テーブルでこれを調べることができます。しかしながら、テーブルは酸化や平担性などの局所的な表面状態は考慮していない点に注意してください。放射率がわからない場合は、わかるレベルに放射率を「強制する」方法があります。これは、マスキングテープ(放射率95%) や高放射率の塗料で表面を覆うことにより可能です。
センサ入力の一部には、測定の目標となっている設備や材料の表面から放射されていないエネルギーが含まれるのが普通です。これは、他の設備や材料から来たエネルギーが測定する表面で反射されているからです。放射率は、その物質を発生源として、その表面から放射されるエネルギーですが、「反射」は別の熱源から反射されたエネルギーです。不透明な材料の放射率は、反射率の高い物質に比べ大きくなります。つまり放射率が高い放射体は、反射率が低くなり、表面温度を測定する際の大きな障害にはなりません。逆に、20% の放射率を持つ面を測定するときには、センサに達するエネルギーの多くが、例えば、近くの炉からの熱の反射である可能性があります。要するに、熱く見えても、他の物体からの熱エネルギーを反射をしている測定面に注意する必要があります。赤外線装置は、カメラのレンズと同じで、ある一定の視野をカバーしています。例えば、 装置は1度の視円錐または100度の視円錐を「見る」ことができます。表面を測定するときには表面の視野を完全に満たす事を確認して下さい。測定表面が視野より小さい場合は、より近くに動くか、視野がより狭いセンサを使用します。または、背景の温度の影響が避けられない場合はその度合いを考慮して、測定値に反映させます。

選択ガイド

RTD は熱電対より安定しています。しかし、温度測定範囲は広くはありません。RTDは約250〜850℃まで測定できますが、熱電対は約270〜2,300 ℃まで測定可能です。一般的に、サーミスタは、40〜150℃の間で使用されていますが、その範囲内で高精度測定が可能です。サーミスタと RTD は共通の問題点があり ます。両方とも抵抗値を使用するセンサで、センサに電流を通すことによって機能します。一般的に非常に小さい電流が使われますが、それでもいくらかの自己加熱が起きてて、温度測定値に誤差が生じます。静止流体(流れや撹拌がないもの)を測定するとき、抵抗センサの自己加熱は大きな問題になる場合があります。この問題は熱電対では起こりません。熱電対は本質的には零電流デバイスだからです。
比較的高価ですが、赤外線センサは温度が非常に高い測定に適しています。3,000℃まで利用可能で、熱電対や他の接触タイプの測定範囲をはるかに超えています。また、測定される表面に対して非接触が望ましい時は赤外線式が有効です。したがって、乾燥室から出て来たばかりの塗装面など濡れた表面や壊れやすい物の温度測定に適しています。化学的に反応する面や電気的ノイズが大きい物質も赤外線計測の理想的な測定対象です。この方式はまた、壁などの非常に大きい表面の温度測定に有効です。熱電対やRTDで測定するには、大規模なセンサアレイが必要となります。