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非接触温度測定 (赤外線放射温度計) の歴史

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すべての有機物質と無機物質は赤外線 (IR)エネルギーを放射しています。周囲温度より冷たい物体からも放射されます。したがって、私たちの目に赤外線の波長域の感度があれば、暗闇でも物を見ることが可能になります。
赤外線以外、通常の光は目に見え、熱は別の方法で感知できます。例えば、人間は正確な温度は分かりませんが、赤々とした残り火が非常に熱いこと、凍りついた湖は冷たいことを知っています。しかし人間の視覚は温度を感知する点においては限定的なものになります。体温に近い温度は、感覚で判断できますが、それは直接触れる場合にのみ有効です。
人間は道具を使用しないで非接触の温度測定を行っている場合があります。例えば、鍛冶屋は、熱した鉄の微妙な色の変化から、鉄に正しい展性があるかどうか判定できます。また、ガラス職人も同様に、加熱されたガラスのロッドが、加工に最適な温度かどうかを視覚で判定することができます。それでも、人間の視覚は、ガラガラ蛇やマムシなどの生物学的赤外線センサに匹敵するものではありません。彼らは、顔の小さな穴や凹みにあるセンサから、餌や敵の体温を感じ取ります。
可視スペクトルは、放射される太陽エネルギーを表しており、人間は道具を使ってその視覚の限界を補う必要があります。加熱工程のアプリケーションでは、非接触 赤外線温度センサが、注目を集めています。遠くから温度を測定する性能だけでなく、最新モデルの信頼性、サイズ、機能、使いやすさ、価格がこれまで以上に魅力的 であるからです。光を網膜に集めるためにレンズを使用し、その信号は脳で適切に校正され解読されます。
同様に、赤外線センサはレンズを通して、目に見えない赤外線を受け取ります。正確な温度を得るために、センサは測定対象物の材質、表面状態、および周囲の熱を考慮 した方程式を使用します。



イギリス人の天文学者ウィリアム・ハーシェル (天王星の発見者) が赤外光の存在を予測する約200年前に、ガリレオは温度計を発明しました。ハーシェルは、水銀温度計とガラスプリズムを使用して、各スペクトルの熱作用を測定しました。
ハーシェルは、温度がスペクトルの赤に向かって上昇するのを観測しましたが、赤を過ぎると作用がなくなると予想しました。しかし、温度はさらに上昇しました。
こうして、目に見えないスペクトル領域は赤外線として知られるようになりましたが、赤外線は人の目に見えないだけで、可視光波長の特性全てを持つ事を科学者達が発見するまで半世紀もの時間がかかりました。
1873年に、スコットランド人の物理学者ジェームズ・マクスウェルは、電磁気の基本法則に関する方程式を発表しました。この方程式は、電荷が電磁場に入り特定の位置に安定する時、それに応じたいくつかの決まった周波数を発することを示しました。今日では、この現象が赤外線だけでなく、他の可視光以外の放射線にも当てはまることが分かっています。それは、ラジオ波、電子レンジ、紫外線、エックス線、およびγ線などすべてです。マクスウェルの研究は電磁波スペクトルの全体を予測しました。マクスウェルが方程式の研究を始める数年前に、熱放射に関するキルヒホッフの法則が発表され、物質が光を放つ能力は同じ温度で光を吸収する能力と同等であるとされました。この法則は、ドイツ人の物理学者キルヒホッフを放射温度測定の基本である「黒体」の概念に導きました。
黒体とは、外部から入射する電磁波を、あらゆる波長に渡り、反射せず完全に吸収し、また熱放射できる物体 (黒色とは限らない)です。完全な放射体である黒体は、その温度に関連した全ての周波数を放射します。
オーストリア人の物理学者ジョゼフ・ステファンは、黒体の放出するエネルギーと温度との関係を確立しました。熱い黒体が冷える過程で、どう放射を行うかを研究して、1879 年に黒体から放出される放射線の合計が絶対温度の4乗で変化すことを発見しました。5年後に、彼の元学生 (ラドウィグ・ボルツマン) は、ステファンの経験則にマクスウェルの電磁の研究成果と熱力学的な原則を考慮して、シュテファン・ボルツマンの法則を作りました。この法測は、物体が熱ければ熱いほど、それが放つ赤外線がより多い事を示します。この法則でステファンは初めて、太陽表面の正確な推定温度を6000℃としました。黒体放射と温度に関係するスペクトルの調査は、ドイツの物理学者ウィルヘルムウィーンの黒体放射の波長分布測定に引き継がれました。1896年に、彼は、黒体からの放射のピーク波長は温度に反比例するという法則を示しました (ウィーンの変位則)。したがって、物体が放射する電磁波の波長は、温度が高くなるほど短くなる性質があります。このため、放射光の色は、赤からオレンジ、黄、白へと変わっていきます。ウィーンは、経験測に基づき方程式化しようとしましたが、高周波放射 (短波長) では成功したものの、低周波 (長波長) では失敗しました。
1890 年代の半ばに、マックス・プランクをはじめとするベルリンの物理学者のグループ ( キルヒホッフの元学生 ) は、黒体スペクトル放射を調査しました。分光計が、各スペクトルを連続した広帯域ではなく、個別の線 (スペクトル線) として表示する現象を発見しました。これを解析した物理学者は、方射光は微細構造が発生させていると仮説を立て、スペクトル線を説明できる原子理論の研究を始めました。
試行錯誤の末、1897 年にプランクは、あらゆる波長と温度における黒体放射エネルギーでも予測できる公式を見つけました。
彼は、光、熱、および、他のエネルギーは一定の流れではなく、むしろ不連続なエネルギーの集合体として放射すると仮定しました。物理学にもとづいたユニバーサルな定数であるプランク定数の発見は、科学がついにスペクトルを数式で表せるようになったことを意味します。これは、エネルギーが量子と呼ばれる不連続なユニットの集合体からできており、各量子によって放たれたエネルギーEは、 方程式 E=hu=hc/l によって計算できると仮定します。(u 秒 -1 が放射線の周波数、h がプランク定 )。放射エネルギーを周波数に直接関連づけると、より高いエネルギー放射には、より高い周波数成分が含まれる現象を説明できました。プランク定数は、黒体放射の基本的理論になっています。以前は、熱とは化学的に原子と結合できる、反発力のある粒子で構成された流体であると考えられていました。この古い視点によると、熱粒子の相互間の反発が圧力を引き起こしました。(温度計は、それを検出する)。
プランクの量子論は新しい科学的時代の扉を開きました。1905 年に、 マクスウェルの電磁気学を研究したアルバート・アインシュタインは、光電子効果について説明する理論的手段として量子を使用しました。その後の実験で、彼が正しい事が立証されました。 彼は科学ジャーナルの Annalender Physik に論文を発表しました。その同年に、同ジャーナルに、アインシュタインは、特殊相対性理論も発表しました。
アインシュタインが 1921 年にノーベル賞を受賞とき、ノーベル委員会は、光電子効果に関する彼の業績について言及しましたが、相対性理論に関しては全く言及しませんでした。(相対性理論は、後に最も重要な科学理論の1つとなりました )。
ほぼ同じ時期に、アインシュタインは黒体放射について説明できる数学の方程式から、自然の基本現象の計測法を発見しました。それは全放射温度計に関する最初の特許となりました。この機器は、熱起電力を持つセンサが電気出力信号を出して無人運転を可能にしました。全放射センサは、1931年に市場に発表されました。
最初の近代的な赤外線量子センサである硫化鉛光検知器は、軍事目的で開発され、第二次世界大戦後一般に普及しました。それ以来、多くの産業が非接触温度測定を開発しました。その範囲は、化学、医薬、自動車、食品、プラスチック、金属、電気・水道、建設資材、医療、紙パルプ、医療、科学 などのあらゆる分野に及びます。
このさまざまなグループの中に、金属の鋳造、鍛造、圧延、熱処理に使用する非接触赤外線センサのアプリケーションがあります。具体的には、プラスチック / 紙 / ゴムの押出し / 張り合わせ / 乾燥、樹脂 / 接着剤 / 絵の具のキュアリング、ガラスの熱処理 / 形成 / 焼き戻し / アニーリング、そして食品加工における品質管理などです。
非接触赤外線温度測定が、接触式温度測定法に比べ、望ましい場合とは、接触が不可能である場合、つまり、動いている物体、届かないところにある物、極端な高温などのアプリケーションです。また、接触式温度計が、センサや製品を汚染や破損する可能性のある場合に赤外線温度測定が適しています。
研究現場では、赤外線の温度測定は、金属、合成物、およびコーティングにおける欠陥の研究に使われています。気象学では、衛生に搭載した赤外線映像装置が雲を撮影して気象レポートに写真を提供します。また赤外線の長波長は、可視光線と比べ、煙をより良く透過できるので、森林の消防隊は空中赤外線画像装置を使用します。これにより、消火作業に重要な山火事の最前線を明確に表示できます。
医学におけるサーモグラフィは、病気が局所発熱を起こすという原理に基づいています。医療の中で、最もよく知られている画像処理技術は、乳癌の初期段階を検出する 赤外線マンモグラフィ装置 (乳房撮影装置)です。
赤外線技術は暗視野装置などに使用されています。敵機の方向に発射された赤外線誘導式ミサイルは、赤外線検出器を内蔵していて、排気やエンジンからの赤外線を探知 します。熱源を特定した検出器は、ミサイルを目標に誘導します。
テレビで戦争シーンを目にする機会があると思いますが、暗視ゴーグルを身につけた軍人や、赤外線カメラ映像にあるように、暗闇で相手を映し出す技術は、戦いを有利にするものです。
工業用の赤外線温度計は、さまざまな分野で活躍しています。ほとんどのハンドヘルドのモデルは、レーザー光線照準器で目標を確認できる「IR ガン」タイプになっています。赤外線温度システムは、対象物の放射率と周囲温度を補正して、レンズで赤外線を集めます。そして湿気などの空中の誤差要因をフィルター処理してから電気信号に変換します。その信号は、瞬時に温度に変換されます。

非接触赤外線温度計の使用が推奨されるケース

接触 vs 非接触温度測定測定面が次の場合は赤外線 (非接触)を使用します :
・高温で熱電対が使用できない
・測定面が大きく多数の熱電対が必要
・動いている物 (熱電対ではリード線が断線しやすい)
・高電位な物 (熱電対では危険)
・質量が非常小さく、熱電対自体が表面温度に影響する場合
・脆弱な物か濡れた物
・化学的活性度が高すぎる物
・測定雰囲気が熱電対には劣悪すぎる
・測定物に機械的に近づけない
・電気か磁場のノイズ源に近過ぎる

放射率について

放射率 : 考慮すべき重要な要素放射エネルギーは、放射、透過、反射の3種類に分類できます。放射率とは、完全な放射体 (黒体) から放たれたエネルギーに対する、黒体と同じ温度の物体から放たれたエネルギーの比率です。放射率値は0.0〜1.0で表します。黒体の放射率を1.0とします。
実際の測定物は黒体ではないので、IR温度計は放射率の違いを補正しなければなりません。一般に、物の放射率が高ければ高いほど、IR 温度測定の精度が高くなります。木、布、プラスチックなどの有機物は、約0.95 の放射率があります。また、荒い面、塗装面も、高い放射率を持ちます。
非常に低い放射率 (0.2未満) の物体は問題です。アルミニウムなどの金属光沢面は赤外線を反射するので、外部からの赤外反射成分が含まれたり、金属自身からの放射率も悪いので、測定値の誤差が大きくなります。

放射率の決定方法

1.正確な温度センサを使用して、材料のサンプルが目的の温度まで加熱されたことを確認する。そして、IR温度計を使用しサンプルの温度を測定して、その測定値が正しくなるように、放射率を調整する。

2.260℃以下の温度の場合、サンプルを放射率 0.95 のマスキングテープで覆ってください。そして、IR温度計が材料の正しい温度を示すように放射率を調整する。

3.高温の場合は、材料にドリルで穴を開けます。穴の深さは直径の少なくとも 6倍とする。この穴の放射率は 1.0 (黒体) になるので、接触式センサで穴の内側の温度を測定する。次に、IR温度計で材料の温度を測定して、正しい温度が表示するように放射率を調整する。

4.約1.0の放射率を持つ艶消しの黒色塗料でサンプルを塗装します。IR温度計の放射率を調整して正しい温度が出るようにします。

5.他に方法がない場合は、一般材料の放射率表を参照してください。この値はおよその値です。

6.2種類の赤外波長を使用する IR温度計があります。この温度計は2つのIRセンサによって測定されたエネルギーの比率から温度を計算します。例えば、オメガには放射率不要の2色式IRシステムがあります。DP1541 ラックマウントモニタと高温用のOS1542 光ファイバアセンブリと組み合わせて使用できます。別のオプションはオメガの2色式 IR2光ファイバ温度測定システムです。測定範囲が300〜3000℃と広くなっています。