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超音波流量計の原理 (ドップラー式と伝搬時間差方式の違い)

超音波流量計 超音波流量計は、音響振動を使用して流体の流速を計測する非侵入型デバイスです。ドップラー式とトランジットタイム式の2種類があります。どちらも、ラインを中断したり流れを邪魔したりせず、配管の外側に取り付けるクランプオン式です。このため、インライン流量計でよく見られるような圧力の低下をなくし、漏れを防止します。さらに、流量計が流体と接触しないので、センサの腐食や劣化を防ぎます。ドップラー流量計およびトランジットタイム流量計は、同じような原則で作動しますが、その技術は大きく異なります。正確な測定値を得るには、それぞれの用途で使用すべき流量計を理解することが重要です。



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ドップラー式超音波流量計

ドップラー超音波流量計は、ドップラー効果の原則に基づいて作動します。ドップラー効果は、オーストリアの物理数学学者、クリスチャン・ヨハン・ドップラーによって1842年に記録されました。ドップラーは、観測者によって受信される音波の周波数が、音源の移動または音源に対する観測者の移動に依存すると記しています。ドップラー超音波流量計は、変換器を使用して、配管を通過する流れに超音波ビームを放射します。流量計が作動するためには、流れの中に超音波ビームを反射する固体粒子または気泡が存在する必要があります。粒子の運動によってビームの周波数がシフトし、これは2台目の変換器によって受信されます。

流量計は周波数のシフトを計測しますが、この周波数のシフトは流速に直線的に比例します。この値を管の内径で乗じると、以下のように体積流量を求めることができます。

クリスチャン・ヨハン・ドップラー
クリスチャン・ヨハン・ドップラー
Δf = 2fT sinθ • VF/VS

スネルの法則(屈折の法則):
sinθT/VT = sinθ/VS
VF = Δf/fT • VT/sinθT = KΔf

式中:

VT = トランスミッタ材料の音速
θT = トランスミッタビームの角度
K = 校正係数
VF = 流速
Δf =ドップラー周波数シフト
VS = 流体の音速
fT = トランスミッタの周波数
θ = 流体へのfT入射の角
体積流量 = K • VF • D2

式中:
K = 定数
D = 管内径

ドップラー超音波流量計は、流体中を流れる粒子に依存して作動するため、固体または泡の濃度およびサイズの下限を考慮しなければなりません。さらに、流体は固体の懸濁状態を維持するのに十分速い速度で流れている必要があります。

伝搬時間差方式(トランジットタイム)超音波流量計

伝搬時間差方式(トランジットタイム)超音波流量計は、超音波信号が1台目の変換器から送信されてから、配管を横断して2台目の変換器によって受信されるまでの時間の差を測定します。上流方向の測定値と下流方向の測定値を比較します。流れがない場合、移動時間は両方向で同じになります。流れがある場合、音の移動は同じ方向に移動している場合は速くなり、反対方向に移動している場合は遅くなります。超音波信号は、センサによって受信されるためには配管を横断しなければならないため、流体は大量の固体または泡を含むことができません。あるいは、高周波数の音が消え、弱すぎて配管を横断することができません。

同じ経路で測定された上流方向と下流方向の測定値の差を使用して、配管を通過する流量を計算します。

V = K • D/sin2θ • 1/(T0 – t)2 ΔT

式中:

V = 流れる流体の平均速度
K = 定数
D = 管の内径
θ = 超音波の入射角
T0 = ゼロ流量の走行時間

ΔT = T1 – T2
T1 = 上流のトランスミッタから下流のレシーバーまでの波の走行時間
T2 = 下流のトランスミッタから上流のトランスミッタまでの波の走行時間
t = 管壁およびライニングを通過する波の走行時間

上記の式は、流体の流速が上流方向と下流方向の測定値の差に直接比例していることを示します。

トランジットタイム超音波流量計は、 Z、V、Wという3つの変換器構成が可能です。超音波ビームは単一経路をたどりますが、すべては単一の測定経路として認識されます。3つの構成すべてにおいて、変換器によって生成された出力は、電流、周波数、電圧信号に変換されます。好ましい構成は以下のような因子によって決定されます。
  • 配管のサイズ
  • 変換器取付け用のスペース
  • 配管内壁の状態
  • ライニングのタイプ
  • 流れている流体の特性
Z」構成では、変換器は配管の対向側に相互に下流方向に向かって位置決めされます。通常、下流方向の距離は約D/2であり、Dは管の直径です。最適な距離はコンバーターによって計算されます。この配置は、空間が限定され、濁度が高く、配管の内壁がモルタルライニングまたは汚れの蓄積が厚いという条件でのみ推奨されます。直径が小さい配管では、測定値の精度が低下する傾向にあるため、設置しないようにします。

「V」構成はほとんどの設置で推奨されます。この配置は、配管の同じ側に、相互の距離が管のほぼ直径以内になるように2台の変換器を設置します。レール取付具で配管にクランプオンすると、変換器が水平方向に滑動し、計算した距離をあけて位置決めできます。

「W」構成は、管の直径が½インチ~1½インチの場合に最もよく使用されます。この配置では、超音波信号が壁から3回リバウンドするため、移動距離が長くなります。濁度が高い流体、配管内壁に汚れまたは沈殿物が蓄積していると精度が低下します。

超音波流量計の精度に影響を与える因子

超音波流量計測定値の精度は、正しい取付に依存します。配管内の大きい温度変化または相当量の振動は、変換器の整合や配管への音響結合に影響を及ぼす可能性があります。設置時にはこれらの因子を考慮する必要があります。さらに、正確な体積流量を得るには、どの超音波流量計でも配管が流体で満たされている必要があります。ドップラー超音波流量計では、配管が部分的にしか満たされていない場合、両方の変換器が配管の液面より下に取り付けられていれば続けて流速を測定します。

まとめ

超音波流量計は、流速を測定する非接触式手段です。クランプオンデバイスであり、配管外側に取り付け、センサを損傷することなく腐食性流体を測定することができます。ドップラー式とトランジットタイム式の2種類の超音波流速計があり、各々2つの異なる技術によって機能します。それぞれの作動方法を理解することで、適切な流量計を選択できます。ドップラー超音波流量計は、超音波信号を反射する粒子または泡が必要です。排水または汚泥など、汚液または気泡入り流体に最適です。トランジットタイム超音波流量計が発信する信号は、流体中の相当量の固体または泡によって劣化します。このため、水または油のようなクリーンな流体で使用することが最適です。

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超音波流量計
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