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CASE STUDY

オーダーメイド/カスタムメイドロードセルの課題

「OMEGAは、標準型ロードセルを改良することで、新規レーザプロジェクトの2018年完成を支援」

オーダーメイド/カスタムメイドロードセルの課題

市販ロードセルがニーズを満たさない
新たなX線レーザプロジェクトの一環として、米国エネルギー省のローレンス・バークレー国立研究所(バークレー研究所)の研究者は、SLAC国立加速器研究所(SLAC)のX線レーザのアップグレードを実施しています。

LCLS-IIと呼ばれるこのプロジェクトは、レーザの出力と能力を飛躍的に向上させるもので、SLACの既存レーザである線形加速器コヒーレント光源(LCLS)と比較して、平均で10,000倍明るく、8,000倍高速になります。 

既存のレーザ同様、LCLS-IIは、アンジュレータと呼ばれる磁石列に電子を通過させます。アンジュレータは、電子を左右にうねらせてX線という形でエネルギーを放出させます。LCLS-IIは分離した2列のビームラインで構成され、1列は21個の低エネルギーの“ソフト”X線アンジュレータで、それぞれ346個の磁石を備え、もう1列は、32個の高エネルギーの“ハード”X線アンジュレータで、それぞれ518個の磁石を備えています。

“ハード”X線のビームラインは、アルゴンヌ国立研究所が開発した独自の水平ギャップアンジュレータを使用しています。このアンジュレータは144個の特殊なスプリングを使用し、2列の磁石間のギャップが狭くなるのに合わせて、発生する磁力を平衡させます。磁力とスプリング力のバランスを維持することは、アンジュレータの性能にとって重要です。

設計の一部として、デバイスを組み立てるとき、ロードセルが磁力とスプリング力を測定してアンバランスを検知します。「磁界が大変大きいので、磁石を取り付けるアルミ構造物にゆがみが生じ、その結果、磁界にひずみが起きる恐れがあります」と、ローレンス・バークレー国立研究所のメカニカルエンジニア、Allan DeMello氏は語ります。「磁石は調整できませんが、スプリング張力を調整して磁石のバランスをとることはできます。ロードセルの値がゼロになることが理想です」。

しかし、市販製品のロードセルを少量注文して、アンジュレータで試験したところ、バークレー研究所の研究者は、それらがニーズを満たさないことに気づきました。あらゆる大規模エンジニアリングプロジェクトにおいて、たとえ小さな変更でも波及的な影響をもたらし、プロジェクトのスケジュールを遅らせ、予算超過につながります。

アンジュレータの所定側面を変更するよりも、ロードセルを改良することが最もコスト効率にすぐれ、時間の節約になるソリューションであることを知ったバークレー研究所は、ロード・セル・メーカーのOMEGAに連絡し、ニーズを満たすとともにプロジェクトのスケジュール維持について協力を求めた。

解決策

顧客固有のニーズを満たす、レーザに注力したカスタマイゼーションプロセス
当初、DeMello氏がOMEGAに相談したとき、デバイスを固定している一部のネジを改良し、突出させるのではなく平らにする必要性を理解していました。しかし、OMEGAのエンジニアとこの改良について協議していると、その他の調整が発生しました。「私たちは大きなネジ山の必要性に気づきました」とDeMello氏は述べます。「ネジを抜きたくありませんでした。このことは、とても重要でした」。またロードセルの端部に、既存ディスプレイのD-9コネクタにリード線を接続するためのコネクタも必要でした。
OMEGAは、製品のほとんどを社内製造しています。これにより、設計と用途に関する社内のエンジニアリングの専門性を活かして、標準製品のカスタマイズを支援するだけでなく、設計の進歩に合わせてフレキシビリティを保つことができます。製品をゼロから構築しているので、ロードセルの端部にコネクタを追加するなどの大規模な設計変更も可能です。

「カスタム部品を、これほど簡単に作ってくれるベンダを見つけられたのはうれしいです」とDeMello氏は語ります。

カスタマイゼーションプロセス全体を通じて、OMEGAのアプリケーションならびに設計エンジニアは、バークレー研究所のエンジニアと緊密に連携して改良の権利を取得しました。バークレー研究所が許容限界を指定し、追加変更を要求できる管理図面を提供しただけでなく、OMEGAは、シニアエンジニアをバークレー研究所に派遣し、建設中のアンジュレータを検証し、ロードセルを設計に適合させる方法を考えました。

設計プロセスの進捗に合わせ、OMEGAは、適切な変更をおこなえるようにプロトタイプをバークレー研究所に送りました。そして設計が完成すると、バークレー研究所のプロジェクトスケジュールに合わせて製造スケジュールを設定しました。

結果

社内カスタマイゼーションがすべての目標を達成
400個を超えるカスタム・ロードセルが必要だったため、ロードセルを指定どおりに改良してアンジュレータに適合させるだけでなく、プロジェクトの全体スケジュールに影響を与えることなく、生産、出荷、そして設置することが必要でした。

設計が決定し、カスタム・ロード・セルの発注がおこなわれると、OMEGAは、わずか30日ほどで、初回注文分を製造・出荷して、プロジェクトの全体スケジュールを軌道に乗せました。さらに、バークレー研究所は、将来のニーズを見据え、OMEGAが支援する予定の指定部品番号を現在保有しています。これによりバークレー研究所は、必要なときすぐに交換用部品を得ることができ、在庫を維持するために必要な安全在庫量を抑えられます。

カスタムロードセルが完成すると、小型部品でありながら重要な役割を果たし、比類のない能力でレーザを出力させ、他の光源では不可能な瞬間的プロセスを詳細にとらえることができます。これらを観察する科学者は、生命を救う薬品や先進のエネルギーソリューションを発見する鍵となる、重大な化学反応の動力学を深く理解できるでしょう。


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