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熱電対と測温抵抗体の振動損傷の防止

熱電対はゼーベック効果の原理で動作し、2つの接合点で接する2種類の異なる金属が、接合点で起電力(EMF)を発生します。金属は温度変化に反応し、接合点の温度差との関連でEMF電圧を発生します。RTDは、温度が高まると電気抵抗が増すという規則で機能します。センサの製造に使用される金属の種類は、精度、測定範囲、応答時間、および環境応力(振動など)への耐性に影響を与えます。
接地型熱電対
接地型熱電対
Ungrounded Junction
非接地型熱電対
1PT100G Glass Wire-Wound RTDs
1PT100G Glass Wire-Wound RTDs
TFD Thin-Film RTD shown magnified
TFD Thin-Film RTD shown magnified
熱電対の接合点は、接地される場合も、されない場合もあります。多くの場合、保護金属で覆われていますが、応答時間を改善するために露出されている場合もあります。静電荷の蓄積を防止するために接地が必要になることが多く、これが精度に悪影響を与える場合もあります。ただし、熱電対を機械や他の電動機器に接地した場合、回路ノイズが測定に影響を与えることもあります。熱電対の構造には、様々な金属の組合せが使用されます。それぞれ、温度範囲および受入れ可能な測定環境に従って区分されます。金属に封入された熱電対は極めて堅牢で、一般的に、RTDよりも振動の影響を受けません。 

RTDは、巻き線または薄膜タイプがあります。巻き線タイプのセンサは高精度です。ガラスまたはセラミックコアの周囲に銅、ニッケル、または白金ワイヤを巻き、これらのワイヤを溶融させています。ガラス・コア・センサは、保護なしでほとんどの液体に浸漬できますが、セラミックコアを備えるセンサは、超高温測定において安定性を提供します。白金は、広範囲の温度に対して最高精度を提供するので、最も好まれるワイヤです。ASTM E1137は、白金抵抗センサの公差を規定する国際規格です。この規格は、温度センサを選択する基準の一つとして利用されることが多く、この規格に準拠して製造・試験されたRTDは、高い信頼性と性能を提供します。

薄膜RTDは、巻き線RTDよりも振動保護にすぐれています。薄膜RTDは、セラミック基板に不動態化した白金の薄膜を堆積させて作ります。そして、電気回路をエッチングして好ましい抵抗を得ます。これらのセンサは、温度-抵抗曲線が実質的に直線になります。従って、広範囲の温度に対して、高精度で一貫した測定値を提供します。コンパクトサイズなので、応答時間が素早く、温度衝撃と振動への耐性にすぐれています。

振動条件下での温度測定の課題

振動は、熱電対およびRTDのワイヤに機械的応力を与えます。熱電対は振動疲労を起こし、絶縁不良や短絡につながります。接合点でなく短絡部で取得した測定結果の値が間欠的に高くなるので、このことが分かります。巻き線RTDは、特に振動損傷を受けやすいです。センサの巻き線に利用する高品質の白金ワイヤは、標準径が15~35ミクロンで極めてもろいです。破損あるいは損傷したRTDセンサは、以下の結果をもたらします:
  • 開路
  • ノイズの多い信号
  • 散発的な高温度値
振動にさらされる熱電対に発生するもう一つの不良として、校正外れがあります。これは、ワイヤの構造が変化して、電圧-温度の特性が国際規格に適合しなくなることです。校正外れで最も懸念されるのは、温度測定値が一見正確に見えることです。読取り値は、時間とともに徐々にドリフトします。既知の温度に対して熱電対を試験するのが、校正外れを検出する最も一般的な方法です。

センサに影響を与える振動の種類

機械振動は、産業プロセスにおいて一般的です。振動は、モータ、ポンプ、またはコンプレッサの動きから発生することがあります。損傷発生の傾向は、振動の振幅と周波数に比例します。振幅は、振動を発生する物体に印加される力です。例えば、電気モータの回転速度は、振動の振幅の原因になります。モータの回転が速くなると、振幅も大きくなります。周波数もまた、振動の程度の要因になります。周波数は、力を受けた機械装置が前後に動く回数です。機械は、様々な振幅と周波数の割合で複数方向に振動します。 

音響的振動は、多数の機械システム、例えば、タービン、エンジン、さらに人間の声や自動車の走行により発生します。音響的振動が構造物に侵入すると、構造物振動になります。音波は空気流があるすべての場所を移動し、従って、あらゆる方向からやってきます。残響は、オリジナルの音が途絶えた後も継続する音です。これは、音波が面で反射した結果です。音響的特徴は、反射元の物体の寸法や形状により異なり、その反応の予測を難しくしています。

流体励起振動は、流体流と、流体に浸漬したあるいは流体を搬送する構造物の慣性間の力の相互作用の結果です。流体流は、機械振動および構造物振動を生じさせるエネルギー源です。円筒構造の場合、振動は、円筒軸に対する内向き流の角度に従い、軸流励起振動または直交流励起振動に区分されます。

耐振動性熱電対と測温抵抗体

OMEGA PR-21SL RTDは、サーモウェル用に設計され、静止時と振動時に、プローブとサーモウェル間の接触をばね付勢で維持しています。これによりサーモウェルとプローブ間の熱伝導が最適化され、センサが振動から隔絶されます。PR-21SL RTDは、2、3、または4ワイヤ用途に使用でき、標準的0.26インチ径サーモウェルに適しています。調整式の自己付勢ばねにより、より短いサーモウェルでも使用できます。

OMEGAのPR-31 RTDプローブは、曲げることができ耐振動性にすぐれています。プローブは316ステンレス鋼製で、鉱物絶縁ケーブルによりプローブを曲げることができます。PR-31 RTDは、MIL-STD-202Gの方法204D、条件Aに準拠して振動試験済みで、測定範囲は-50~500°Cです。100および1000Ωバージョンがあり、2、3、または4ワイヤ用途に使用できます。

M12Mシリーズ熱電対プローブは露出、プロセスへの設置、あるいはサーモウェルで使用できます。このプローブは、Inconel 600シース付きのタイプK熱電対として、または304ステンレス鋼シース付きのタイプJとして入手できます。タイプKは温度範囲が-40~1150°Cで、タイプJは温度範囲が-40~600°Cです。M12Mは、標準で非接地接合点を備えています(接地接合点はオプション)。
Load Cell
PR-21SL RTD
 
Load Cell
PR-31 RTD Probe
 
Load Cell
M12M Thermocouple Probe

まとめ

貴社の用途に適したRTDまたは熱電対を選択することは、性能を最適化し、センサの損傷を防止します。熱電対は多目的であり、温度測定における費用対効果の高い手段であり、振動の最良の保護手段になります。巻き線RTDは、極めて高精度で広範囲の測定を提供しますが、堅牢ではありません。薄膜RTDは、高精度で一貫したデータを提供し、巻き線RTDと比較して耐振動性にすぐれています。他にもOMEGAは、非常に過酷な振動環境向けに、カスタムソリューションを提供しています。

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熱電対
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